妊孕性(卵子・精子保存)の保険適用を目指す会

tsubasalogo

新着情報/活動報告

第2回「がんと妊孕性」セミナー開催
電子署名を開始しました!
つばさフォーラムがWEB配信されます
署名、1万1千突破!
「がんと妊孕性」セミナー開催

ごあいさつ

gotousan

代表 後藤千英

 こんにちは。小児からAYA世代(16歳~39歳)を越える年代まで、がん治療開始前に受ける妊孕性温存のケアに対しての保険適用を心から希望して、目指す会を起ち上げました。私もまさにAYA世代で血液がんを診断されて、治療を前に「不妊になるかもしれません」と辛い説明を受け、なんとか卵子保存ができた経験から、どうしても保険適用をと願わずにいられません。

 本当に突然に、骨髄異形成症候群(血液がん)という診断を受けました。そして「この疾患の根本的な治療は骨髄移植しかない」こと、さらに骨髄移植を受けると妊孕性(にんようせい(「妊娠する力」のこと))を高確率で失うことも説明されました。病名も、治療での脱毛も、いろいろ受け入れがたいことばかりでしたが、何よりも「不妊」に衝撃を受けました。若い私にとってそれは人生や未来や生きる希望全体を絶たれるように思えたのです。病気の治療が最優先、それは当然だと頭ではわかっていても、青春真っ只中の私には妊孕性を諦めることはできませんでした。

 幸い先生から「卵子保存」ができるかもしれない、いま保存しておけば「いまの年齢での卵子」が維持できる、と言ってもらえました。これから受ける治療の先に未来が少し明るく輝きました。でも直ぐに、その卵子保存は保険の適応がなく全額自費であることを知りました。がん治療の副作用によって起こる現象なのに?それも約50万円!そしてもし今回の保存に失敗して再チャレンジになったら、ほぼ同じ金額になります。

 卵子(精子)の保存は、一連のがん治療の過程で起きる副作用に対して行われる1つのケア、と思います。これからがん治療を受ける小児~AYA世代の仲間の未来に、生きる希望、ひとつの光を残すために、妊孕性温存が保険適応となることを心から希望いたします。みなさん、力を貸してください。

顧問 橋本明子
特定非営利活動法人 血液情報広場つばさ 理事長

hashimotosan

 つばさはフォーラムやセミナーで、数年前から、専門家による「疾患と治療の解説」のほかに、血液がん・小児がんを克服した人達に経験口話をお願いしております。経験者の皆さんは、「診断を受けて心が折れそうになったこと」「辛い治療が続いて先が見えない不安で心が立ち往生したこと」「そして治療で失ったものもあるけど、いま、自分らしく逞しく暮らしています」と明るく話します。司会席の私も、辛かったね、でもがんばった、と毎回もらい泣きしながら深く感じ入って聴いています。

 この経験口話から、つばさは次のフォーラムやセミナーで聴いて皆で勉強したいテーマを見つけることもあります。宮城順さんの口話「移植後に20年以上も体調不良に悩んだが、それが後遺症によるホルモン不足によるものだとわかった」では、内分泌科の先生に「ホルモン補充療法」について講演していただくことに繋がりました。そしてMDSを骨髄移植で克服した後藤さんは、「副作用対策として卵子保存をしたことと、その卵子保存の費用の高さ」そして「がん治療の副作用なのに、なぜ保険が効かないのでしょう」という率直な疑問を語ってくれました。ちょうど同じころ、Newsletterひろば『血液医療―最前線の医師を訪ねる』(1607号)で、蘆澤正弘先生(自治医科大学)に、AML治療を例にした治療開始前後の妊孕性温存ついて解説いただく機会がありました。

 そして昨年、つばさボランティアの藤岡さんの娘さんが乳がんを罹患し、卵子を保存しました。その時、最初の施設で「パートナーがいないと卵子保存はできない」と言われ、次の施設を探して保存するという顛末もありました。さらに、20年来の友人の千葉・ミルフィーユの井上さんから「小児がんの子の妊孕性は本当に大変な問題。しかも若い両親にとって保存にかかる費用は重すぎる」と聞きました。

 私は1986年に長男が慢性骨髄性白血病に罹患したことから、血液がん・小児がんの領域に関わることになったのですが、当時は日本に骨髄バンクという言葉すらありませんでした。骨髄移植をしなければ息子さんは3年~5年くらいで残念なことに…、と言われましたが、1人ある妹とはHLAが一致しませんでした。まさに治療法も助けてくれるシステムもありません。身も心も八方ふさがりでした。でも息子の命を救うためにそれが必要なのであれば、と骨髄バンク設立要求運動に走り出し、1989年に77万人分の署名を集め国会に提出しました。その年の国会で総理大臣から骨髄バンク承認の言質をいただきます。  白血病の息子のために設立運動に走っていた時の母の不安感。それを救ってくれたのは“小児がんの子の治療費は無料”のシステムでした。それはお金の問題ではなく、「誰かが苦労してこのシステムを創ってくれた」という、優しさへの感謝でした。

 後藤さんは、私が経験したことがこれから治療を受ける人達にも生かされるように、と声を上げました。私も後藤さんの希望を受け止め、共に歩みます。日本中どこに住んでいても、どの施設で治療を受ける人でも、等しく妊孕性温存を考える機会がありますように。是非、お力を貸してください。

妊孕性温存の保険適用を心から願います
~小児がん患者・家族と小児がん経験者支援者として~

認定NPO法人ミルフィーユ小児がんフロンティアーズ
井上富美子

inouesan

 がん治療の向上により、現在では多くのがん患者の命が救われるようになりました。
大変喜ばしいことですが、その一方で、がんが治癒しても、治療の影響で新たな問題に直面するがん経験者が数多く存在していることも事実です。

 特に小児がんの場合、心身ともに成長・発達している過程での治療であるため、治療の影響は多大であり、一人の人間として自立した生活を目指す子どもたちの前に様々な壁が立ちはだかることが珍しくありません。

 小児がんは対象年齢が誕生から15歳までですが、年齢が低ければ低いほど治療選択は本人ではなく親が行うことになります。そして、治療について理解できる年齢になった頃、自分が受けた治療の強さやその影響について知らされるのです。特に妊孕性に関連する治療選択は、思春期に入り始めた子どもにとって大きな衝撃であり、難解な問題、大きな苦しみとなります。

 しかし現在では、思春期以降の子どもたちには卵子・精子保存という技術よって将来、子どもが持てる可能性が出てきました。ところがこれは保険適用ではなく、莫大な費用が必要となります。特に卵子の場合は若い家族にとって大きすぎる負担となり、経済的な理由であきらめるケースもあると聞きました。ましてや経済的に自立はしていてもまだ若い患者たちにとっては、到底、手が届かないものとなっています。

 私に「卵子がなかったら、もう女性ではないの?」と言った思春期の女子がいました。もし「卵子保存」ができていれば、実際に、こどもを授かる、授からない以前に、自分自身の尊厳も保たれるのではないでしょうか。「命」のためと言えども、治療がもたらしたこのような悲しい想いが少しでも軽減されるよう、卵子・精子保存が保険適用になることを心から願っています。

16歳で血液がん治療を経験して
~治療は病を治し、同時に患者の未来に灯を、と願います~

米井慶太郎さん(18歳) 東京医科大学看護学科

yoneisan

 近年、2人に1人が「がん」を罹患するという言葉が社会に浸透し始め、それに伴いがんの画期的な治療が多く現れ、生存率が格段に上昇してきました。私はそんな恵まれた時代に、慢性骨髄性白血病(CML)を罹患しました。私がCMLを罹患したのは高校1年生、16歳の時で、ちょうど「AYA世代」という世代にカテゴライズされる年齢でした。

 CMLの根治を目指すためには、現在の治療のセオリーとしては分子標的薬、放射線照射、大量の抗がん剤を併用した治療・骨髄移植が必要不可欠です。分子標的薬は少し事情が違いますが、放射線照射、大量の抗がん剤を併用した治療・骨髄移植では、治療の副作用で生殖機能が高い確率で失われてしまいます。私は病気の状態から「骨髄移植を受ける必要性がある」と診断されました。したがって、AYA世代の患者であった私は、「精子凍結保存」を行いました。

 精子保存と聞いて、当時の私はあまり実感が湧かず、ただ困惑するばかりでした。今思うと、高校1年生彼女いない歴16年、16歳の青年が産婦人科に行き、将来の為に精子保存するなんて、困惑するのも当然でした。しかし、治療のおかげで病も寛解し18歳になり、法律的に結婚できる歳になった今、精子の凍結保存をしたことについて実感が持てるようになったと共に、保存しておいて本当によかったと思えるようになりました。私はこの経験から、治療とは病を治すだけでなく、患者の未来まで明るくするものでなければならないと思いました。しかし、男性の精子保存には10万円ほど、女性の卵子保存には数十万円、特殊な場合は百万円程度の費用がかかります。そしてそれらの費用はすべて自己負担となっており、保険や国の制度などによる補助も存在していません。

 AYA世代が治療していくにあたって、進学・就労などの問題だけでなく、出産・結婚の問題、経済的な負担などの多岐にわたる問題が発生してきます。そのため、これらの問題が少しでも緩和されれば、安心して闘病していけるようになっていくのではないでしょうか。私はその先駆けとして、妊孕性温存の保険適用などの患者の背中を後押しするような制度が確立され、その結果、患者の皆さまに明るい未来が訪れることを心から願っております。

病気を治して恋がしたい
~髪も卵子も失った26歳 の希望~

山本 京さん(26歳)会社員

yamamotosan

 26歳という、友人の結婚や出産と言った幸せな報告を耳にする事が増えた頃、私は白血病になりました。
幼い頃から当たり前の様に想像していた、いつか結婚してママになる。そんな当たり前が当たり前ではなくなりました。

「治療で抗がん剤を使用すると、不妊になる恐れがある」。先生からそう言われたときは、白血病と宣告された日よりも辛かったのをよく覚えています。その後、私の白血病は、抗がん剤だけでは治療効果が低いことがわかり、骨髄移植に進むことになりました。移植の前処置である放射線全身照射を行えば、不妊の確率は100%です。

 そのときパートナーがいなかった私は、これからさき、がんになった事のある女と恋をしてくれる人なんていないのではないか、と思ってとても悲しかったです。そして、ただでさえ白血病の治療費で何百万円もかかっているのに、将来出会えないかもしれないパートナーとの未来に何十万円もかけるべきなのだろうか、と何度も何度も悩みました。

 そんな時隣のベッドの女の子が “私は保存の手術をやってきたよ!絶対赤ちゃん産むんだ!”と話してくれました。その笑顔に背中を押されて、私は妊孕性温存を決意しました。

 そして今、こんな私を愛してくれる人とも出会えて、再び恋をすることも出来ました。

 病気を治すことも大切ですが、治った後の未来を残させてください。私のようにお金のことで悩む若者、また諦める人がいない未来となりますよう、妊孕性温存に保険が適用されますよう心から願います。

署名にご協力ください

署名用紙(PDF)
[2021年版にアップデート済みです]

署名用紙(WORD)
[2021年版にアップデート済みです]

現在助成事業を実施している自治体および団体(リンク)

滋賀県

埼玉県

京都府

広島県

岐阜県

香川県

千葉県館山市

千葉県いすみ市

三重県

福島県

神奈川県

上記の他に今年度実施予定の自治体が複数あります。
詳しくはお住まいの自治体へお問い合わせください。

妊孕性(にんようせい)の保険適用を目指す会をフォローする
妊孕性(卵子・精子保存)の保険適用を目指す会